[読書メモ]『別冊宝島 1537 号 僕たちの好きなシャーロック・ホームズ』

p4
躁と鬱、几帳面さとルーズさ、正義感と非道徳的な面、冷徹と温情、そういった対照的な要素が同居する人間くさい面もホームズの魅力だ。

p8
[マイクロフトは]正典へのまともな登場は「ギリシャ語通訳」と「ブルース・パーティントン型設計書」のみ

p38
物語の第1話が必ずしもストーリー上の出発点ではないという構成は、欧米の諸作で見られる趣向だが、本作はその先駆的な作品のひとつであろう。

p44
男性の友人どうしが腕を組んで歩くのは親愛の情を示すものであり、珍しくはなかった

p48
小説のジャンルが細分化される前に書かれたホームズ譚は、さまざまな読みかたが可能である。そうした懐の深さがシリーズの魅力といえよう。

p55
ホームズは、外観などからウィルソンの経歴を推理、彼を驚嘆させる。推理の過程を説明し、依頼人に「なあんだ!」といわせて、ワトスンに「説明などしなければよかった」とグチる。この一連のパターンは、この時点ですでに定番化している。

p69
容疑者の証言は正しいという見解と、残されたいくつかの手がかりから、事件の構図をひっくり返す手腕は鮮やかだ。

p76
イギリス人は、なべて競馬好きといわれる。イギリスにおいて競馬は紳士のスポーツであり、それゆえ競馬場は社交場であり、馬主になることはセレブリティの証明となる。

p90
[サセックスの吸血鬼で]「わが探偵事務所」と語ったホームズだが、自身の仕事場をこう称するのは珍しい。

p101
ガリデブ捜しに世界中を回ることを夢見る、ガリデブ好きの大富豪ガリデブ氏、財産を相続したいがためにガリデブ探しに明け暮れる弁護士ガリデブ氏、弁護士に発見された変人のネルソン・ガリデブ氏と、ガリデブづくしのエキセントリックな物語である。

p125
ホームズ譚のパスティーシュ(世界観を尊重した贋作・模作)やパロディ

p126
児童向けのシャーロック・ホームズの訳書のなかには、訳者による翻案、すなわち大幅な改作が行われたものも少なくない。これは、ある意味ではパロディだとすらいえる。

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