パイプを吸っている時は何もしない

私はパイプを吸う時はベランダで吸っています。貸家なので家に臭いを付けられないからです。小さなベランダに椅子を置いて吸いますが、夏は暑く蚊に刺され、冬は寒いです。

それとパイプは灰が舞ってしまうので、ほんらい完全な無風の空間で吸うほうがいいらしいです。

なので、いつか喫煙ルームがある家に住みたいと思いつつ、仕方なくベランダで吸っています。

パイプを吸う時は、家の中であらかじめ葉(=パイプタバコ)を詰めておきますが、喫煙時にはその他の小道具も必要です。着火用のマッチや、喫煙中にパイプの葉を押さえたりするタンパーと呼ばれる道具や、パイプを置くパイプレストもいります。何かと細々としたグッズが必要なので、小さな箱を用意してそこに一式を入れています。

私はそれ以外にもストップウォッチが必要です。パイプを始めて2年半になりますが、いまだに長く吸うと気分が悪くなることがあるので、時間を決めてパイプを吸っているのです。だいだい1日 15 分のことが多いです。首からストップウォッチを下げて、アスリート気分でパイプを吸っています。

そして iPad。その日、どのパイプで何のパイプタバコをどれぐらいの時間吸ったかを毎回記録しています。最初は紙のノートに書いていましたが、途中から iPad でデジタルに記録しています。デジタルだと集計して分析したりしやすいからです。

さて、パイプは着火したり葉を押さえて調整したりと手間がかかりますが、一旦火が安定すると、時折タンパーを使う程度で特に何もすることがありません。私は最も価値ある資産は時間だとおもっているので、こういう時間はぼーっとせず、何か有益なことをしようと考えます。

読書がいいかなとおもったこともありますが、紙の本はパイプの葉が落ちると焦げてしまいます(よく服を焦がして穴を開けています)。だからパイプスモーキング中は電子書籍がいいです。前述のように iPad を使っているので iPad で読書をしたり、他にいろいろアプリをいじったりしています。

しかし、これは良くないと気付きました。

シャーロック・ホームズはなぜパイプを吸うのか。私は「リラックスするため」だと考えています。事件の推理といった抽象思考にはリラックスが欠かせません。パイプで瞑想状態に身を置くことでリラックスし、それがインスピレーションの源泉になっているんだとおもうのです。

私はシャーロック・ホームズが好きでパイプを始めたんだから、ホームズを見習わなければいけません。パイプを吸いながらセカセカと iPad を触って「1秒たりとも無駄にはできない!」と時間を気にしていたらダメですよね。

ということで、最近はパイプスモーキング中は意識的に「何もしない」ようにしています。パイプの空気の流れや火の具合をじっと観察してパイプを吸うことだけに集中するのです。

これは「クールスモーキング」の観点でも良いことです。パイプは強く吸って火皿が熱くなると、パイプを痛めたり、味がまずくなったり、そもそも熱くて手で持てなくなったりします。だから、なるべくそっと吸うことで熱くならないようにします。これをクールスモーキングと呼びます。iPad をいじっていたりすると、気がついたらプカプカ強く吸ってしまい、火皿が熱くなるのがしょっちゅうでした。これからは iPad をいじらずにもっと呼吸に意識を向けるつもりです。

パイプを吸いながら木目を眺めるのもいいと、パイプスモーカーの苫米地英人さんがで言っていました。

パイプの木目は「グレイン」と呼ばれますが、価値があるパイプはグレインが縦向きに並んでいるものだそうです。私の持っている安物パイプではそういう綺麗なグレインがあるパイプはありませんが、安いパイプは安いパイプなりに眺めて面白いこともあります。例えば以下のパイプは、グレインはグチャグチャですが、あちこち向いていたり円になっていたりするグレインが、なんだか木星の表面のようで、逆に見ていて楽しかったりします。

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こういう目の前の行為に集中することって今風に言うと「マインドフルネス」と同じことだとおもいます。

最近はコロナウイルスに関連するニュースで気が滅入ったり、行動が制限されてストレスが溜まっている人は多いはず。たとえ 15 分程度でも毎日意識的にリラックスする時間を持つことは大事なんじゃないかなともおもいます。

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