海賊船におけるパイプの灰の扱い

『海賊の経済学』(ピーター・T・リーソン、NTT 出版、2011)を読みましたが、そこでパイプについて触れられていました。

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p74
たとえば海賊の中で喫煙者が、パイプの灰の始末をサボったら、船上の火薬に引火して全員が木っ端みじんになりかねない。

シガレット(紙巻たばこ。一般に日本で「タバコ」といってイメージするもの)とパイプの違いについてよく言われることの一つが、シガレットには燃焼剤が使われているがパイプには使われていないということです。

シガレットは一旦火を付けたらずっと火が消えませんが、パイプは絶えず吹いたり吸ったりしないとすぐに消えてしまいます。

パイプは火が消えないようにと強く吸いすぎると「過燃焼」という状態になり、パイプが持てないぐらい熱くなったり、ジュースと呼ばれる苦い液体が発生したりします(僕の場合、特に冬場は寒いので強く吸いがちです)。かといってあまりに弱く吸うとすぐ消えて火をつけ直す必要があります。加減のコントロールがすごく難しいです。「消えたらまた火をつければいい」とおおらかな気持ちでパイプを吸えばいいと言う人もいます。

先の引用の話に戻ると、そういうわけでパイプの灰のせいで火薬に引火するようなことはあまりないような気がしました。僕はパイプの灰が服に落ちて服に穴があくことがありますが、落ちた灰や葉がずっと燃え続けることはありません。海賊船で火薬のすぐ横でパイプを吸わない限り引火なんてないのではないはずです。

p92
一部の海賊船は、火薬など可燃物のある区域での発砲や喫煙を禁じていた。[…]「船倉にて銃器の撃鉄を上げたり、パイプにふたをせずにタバコを喫煙したり、ランタンなしにむきだしのロウソクを持ち歩いたりする者は、前条と同じ罰を受ける」。

ここで「パイプのふた」について触れられています。

ネットの写真で、ボウル(葉を詰める部分)にふたがあるパイプを見たことがありました。例えば以下のようなパイプです。

Peterson nickel wind cap – Peterson Pipe Notes
https://petersonpipenotes.org/tag/peterson-nickel-wind-cap/

ふたがあると tampering(パイプの火が消えないようにタンパーと呼ばれるツールで火をコントロールする作業)の邪魔になりそうで、ふた付きパイプは邪道だと思っていました。

でもたしかに船の上でパイプを吸うなら、葉っぱが風で飛んでいったりするのを防ぐにはいいのかもしれません。火を付けたり tampering の際はふたをあければいいだけのことです。僕はベランダでいつもパイプを吸っていますが、風が強い日はパイプを吸うのに苦労します(パイプは無風状態で吸うのがベストです)。ふた付きのパイプもコレクションの一つにほしくなりました。

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