「ワトソンか、ワトスンか」問題の翻訳者としての答え

よく「 Watson の翻訳は "ワトソン" が正しいのか "ワトスン" が正しいのか」という議論を聞きます。僕がホームズ読書会を開いていたときも聞かれました。

ある人は自分が聞き慣れた方を好むかもしれませんし、英語の発音に近い方は "スン" だという意見がありそうです。昔から翻訳の慣習として 〜son は "ソン" が多い、というのも一理あります。「どうしても "ワトソン"(あるいは "ワトスン" )じゃないとダメ!」という人もいるかもしれません。

僕としては「どちらでもいい」です。特に好みもありません。ただ、"ワトスン" と言うと何となく「言い方にこだわっている面倒な人」っぽい感じがするので、ホームジアン以外の人には "ワトソン" と言うようにしています。"ワトソン" のほうが一般的っぽいからです。

ただし、一時翻訳の世界に関わっていた身としては絶対に外せないルールがあります。それは<使うときはどちらか一方に統一すること>です。

翻訳において<表記統一>は大事なことであり、あるときは "ワトソン" あるときは "ワトスン" としていると成果物に対して信用を失います。だからブログの1エントリー内ではどちらの表記にするかを決めて投稿します。もし雑誌の連載を書くなら、連載中はずっと一方の表記に固定します。シリーズ物の本を書くときも統一します。

もし途中でどうしても変えるべき理由ならそれについて訳注や「訳者あとがき」などで説明すべきです。「どうせバレないだろう」とこっそり変えるのは NG ですが、無意識で不統一にしていたらプロじゃないです。そしてこのことは翻訳者以外の一般の書き手であっても同様です。

このブログでは "ワトスン" で統一しています。"ワトソン" でもよかったのですが、単にホームズ読書会を開いたときに創元推理文庫を使っていたのでそれに合わせて "ワトスン" にすると決めました。

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