「事件解決」とは何か

数少ないホームズが失敗した事件の一つとして「ボヘミアの醜聞」事件があります。

一方で、例えば「踊る人形」事件に関しては、ホームズは暗号を解いたことだし、真相も解明できて一般的には「成功した事件」に分類されることになっています。

しかし私は「ボヘミアの醜聞」は成功した事件で、「踊る人形」が失敗した事件だと思うのです。

それは事件解決とは依頼人の希望を満たすことだからです。

「ボヘミアの醜聞」はホームズはアイリーン・アドラーに一杯食わされたというエンディングになっていますが、当の依頼人は大いに満足しています。だから別にいいんです。ホームズが満足するかどうかは関係ありません。

「踊る人形」は真相が明らかになりましたが、依頼人が殺されています。依頼人が殺されることは諮問探偵としては最も避けるべきことです。この事件は失敗以外の何物でもありません。

だから「ボヘミアの醜聞」は失敗した事件で「踊る人形」が成功した事件とされる、一般的な解釈に違和感があるのです。

これは探偵業に限らず、恋愛だろうとビジネスだろうとすべて同じで、相手の希望を満たすことを第一に考えてこそ成功へ近付くのではないでしょうか。

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