[読書メモ]『ホームズおもしろ事典』(平賀 三郎)

p21
ホームズは依頼人の持ち物などから相手がどのくらいの収入があるかを見抜くことに長けていたようである。

p27
デザートワイン

pp42-43
さらにホームズ物語が「ストランド・マガジン」誌への連載で爆発的人気を得ると、現実/架空の区別を曖昧化するシャーロキアンの読み込みが始まった。

p55
そうした顔と性格の関連を、19世紀初めに、ゲーテとともに集大成したのが、スイスの医師だったヨハン・カスパー・ラファーターである。顔のパーツからその人の性格や能力が判定できるという彼の考え方は、一種の常識として、ヨーロッパの人々に共有された。19世紀の初めには、中流以上の家庭には一家に1冊彼の著書『観相学断片』があったといわれるほどだった。そのため、彼の観相学は多くの芸術家の無意識にも影響を与えることになる。

p55
大きな頭には知的に優れた大きな脳が詰まっていると考えるのが、ガルの脳蓋観察論なのである。

p72
それをわざわざ「ミスターですよ」と訂正したものだから、「あなたは厳密を好む方ですね(man of exact mind)」とホームズは言って、その几帳面さに敬意を表したわけである。

p86
手がかりが1パーセント以下、想像力が99パーセント以上の説といってもいいだろう。

p87
ホームズは失敗を恥じない。

p101
同じテーマの繰り返しはコナン=ドイルの得意技である。

p114
白髪染めや発毛促進剤など、髪の悩みに関する広告が多いのは、いつの時代も変わらない。

p119
美しいメイドを雇うことも豊かさの象徴の1つだった。

p120
そしてほかの事件にはあまり見られない、トリックらしいトリックが登場するのもこの物語である。

p156
漆を英語でジャパンというので、他国製の漆製品かもしれないが、金持ちの象徴だった。現在でも王宮や貴族の館を見学するとよく飾られている。

p177
英国国内では1880年にグリニッジ標準時が採用されるまで、各地方で子午線に基づいたローカル・タイム(地方時)が用いられていた。[…]地方時廃止の主役を演じたのは、鉄道だった。

p183
傑作なのは、《ボヘミアの醜聞》でアイリーン・アドラーが男装して尾行してきたシーンで、ホームズは全く気がつかなかった。これは、アドラーが舞台化粧はお手のものであることのほかに、夜間であることも無視できない。当時のロンドンの街は現在と比較できないくらい暗かった。ベーカー街もところどころにガス灯がほのかに点っていた程度で、当時名物だった霧でも出ていれば、変装には誰も気がつかないだろう。

p191
まさに今日のホームズのイメージは、コナン=ドイルが書いたものを超えて、俳優や画家らが膨らませた合成の産物である。

p214
さらに、本書は章立てからして一風変わっている。通常のように第1章から始まるのではなくいきなり第2章から始まり、その後、3、5、7、11、13、17章……という具合に進行する。これは主人公が数学、特に素数が好きだからという理由で、章立ての数字を素数にしたからなのだ。

p230
1992年になると科学技術系専門学校を格上げしたポリテクニク大学……と増加の一途をたどったのは、我が国の駅弁大学、コンビニ大学の歴史と同じである。

p236
江戸の上水道は、延長150キロの当時世界最長の上水道だった。ロンドンでは、17世紀頃は延長30キロ地上式があるだけだった。

p242
2人は普段、お互いを「ホームズ」「ワトスン」と呼んでいるが、これは英国のパブリック・スクールなどで、教師が学生を呼ぶときに名前ではなく姓(名字)で呼ぶのに倣ったものである。

p242
男性同士の場合は、名字にミスターやドクターなどの敬称を付けるのがヴィクトリア朝時代の一般的な慣習で、貴族なら「セント・サイモン卿」のようにロード(卿)あるいはサー(どちらも姓名、あるいはサー・チャールズのように名前に付ける)を付けて呼ぶ。

p244
「ねえ、ドクター、今は観察の時であって、おしゃべりしている時ではないのだよ」(《赤髪組合)、あるいは「嗅ぎ煙草をどうだい、ドクター」(《花婿失踪事件》)のように、ワトスンを牽制したり、皮肉を言いたいときに「ドクター」が使われる傾向もある。

p244
一方だけが敬称を付けるのは、上司と部下、あるいは師弟のような関係にある場合が普通である。

著者プロフィール
シャーロック・ホームズ紀元56年生まれ。

—-誤植—-
・p14
Preparations for Irene Adler’s Marriage のアポストロフィーが全角になっている。

p36
訂正前:You Tube
訂正後:YouTube

p148
訂正前:プライヤー
訂正後:ブライヤー

p151
訂正前:Why Gilchrist was offered
訂正後:Why was Gilchrist offered

p209
訂正前:Holms, the beekeeper
訂正後:Holmes, the beekeeper

> 本記事のタイトルとURL をコピーする <